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: 電荷のつくる電場 : 電磁気学I : 問題2.1.3   目次


電場の性質

クーロンの法則は遠隔力の考えに基づいている。遠隔力とは二つの物体が 接触せずに力を及ぼすことができるような力のことである。力学では必ず力が 作用する場合には、物体の接触があった。その意味で遠隔力は「不思議」な 力である。

これに対してファラデーは直感的に以下のように考えた。 何らかの原因(例えば点電荷Aが存在すること)によって、 空間の状態が変化する。その変化した空間に 点電荷B(プローブ電荷)置くとその電荷には 力が作用する。すなわち、電荷Bはこの空間の変化を 感知する。このように変化した空間=「電場」と言う。 このような考え方を「近接作用」の考え方と言う。

電場を定量的に表すために仮想的なプローブ電荷$q$を用いる。 そのプローブ電荷を ある位置$\vec{r}$においた時、力$\vec{F}$を受けるとその位置に おける「電場の強さ」(あるいは、単に電場)を $\displaystyle \vec{E}(\vec{r})
=\frac{\vec{F(\vec{r})}}{q}$と表す。

静的な現象を扱う限りは遠隔作用的な考え方でも、近接作用的な考え方 でも、同様に現象を扱うことができる。しかしながら、動的な現象では 原因の変化に対して、結果には遅れが生じる。例えば、ある点電荷が動くと 別の点電荷に及ぼされる力が変化するような場合である。 そのような遅れを考える ためには、力が空間を伝わるという近接作用的な考え方の方が自然である。





Administrator 平成25年7月6日