SEMINAR

カイラル液晶中の位相欠陥とスカーミオン

講演日:2018.02.21 (Wed)

講演者

福田順一氏(九州大学理学研究院)

講演内容

 液晶はディスプレイで用いられているという点で身近な存在であり、かつ工学の重要な研究対象であるが、基礎物理学の興味深い題材としても精力的に研究が行われている。その理由としては、超伝導体といった他の物理学の研究対象との概念的な類似性を有することや、トポロジーといった数学の概念が目に見える形で具現することなどが挙げられる。
 本セミナーの前半では、液晶の物理の基礎的なところを、特に連続体力学と位相欠陥に着目して紹介し、後半では最近の研究成果の1つである、液晶の向きの秩序(配向秩序)が渦状になるスカーミオンと呼ばれる構造が、鏡映対称性のないカイラルな液晶を平行平板に挟まれた薄い空間に閉じ込めるだけで生じることについて述べる。
 スカーミオンはもともと素粒子物理の分野で提唱された概念であるが、様々な凝縮系で同様の構造が現れることが示され、特に磁性体で生じるスカーミオンに近年大きな注目が集まっている。
 本講演では、連続体理論に基づく研究成果について述べるとともに、磁性体のスカーミオンと液晶のスカーミオンとの類似性や違い、および実験で液晶のスカーミオンが実際に観察されていることなどを紹介する。

参考:Fukuda and ?umer, Nature Commun. 2, 246 (2011); Nych, Fukuda et al., Nature Phys. 13, 1215 (2017).

開始時間及び場所

15時00分~16時20分 入門
16時40分?18時00分 研究
近畿大学理工学部31号館808室