SEMINAR

ソフトマターが作る無限種類のトポロジー

講演日:2017.03.07 (Tue)

講演者

鈴木次郎氏(高エネルギー加速器研究機構 共通基盤研究施設 計算科学センター 研究機関 兼 J-PARCセンター 情報セクション)

講演内容

ソフトマターの代表である「高分子のサイエンス」はひも状の分子鎖、つまり末端のあるリニアポリマー分子を中心に発展してきた。末端の存在に起因した絡み合いやレプテーション運動などの「高分子らしさ」は、高分子の基礎理論から工業利用まで当たり前の性質として受け入れられてきている。
 リニアポリマーの鎖の形は基本的にランダムウォーク(RW)で記述でき、トポロジーはひとつ(一本のひも)に限定される。これに対して分子鎖の始点と終点を接続して輪にし、特異点をなくしたリングポリマーは、末端がないがゆえに従来のリニアポリマーと特性が異なることは容易に想像できる。輪にしたトポロジーは、図に示すような無限種類に及ぶ様々な結び目を分子内に持ち、鎖が交差することがないためそのトポロジーは保存される。よってリングポリマー分子はRW統計から外れ、物性にも影響を与える。
 このようなリングポリマーの物性に対するトポロジー効果を紹介するため、前半の入門で
(1) ソフトマターってなに?
(2) 高分子のランダムウォークモデル
を講義し、後半の研究講演で
(3) シミュレーションを使ったリングポリマーに関する最新の研究
について紹介する。

堂寺知成(理学科物理学コース・ソフトマター物理学研究室)
dotera@phys.kindai.ac.jp
荒井規允(機械工学科・計算熱工学研究室)
arai@mech.kindai.ac.jp

開始時間及び場所

日時:3月7日(火)15時00分~16時00分 (入門講義)
          16時15分~17時15分 (研究講演)
場所:近畿大学理工学部31号館601室