SEMINAR

コロイド系の構造形成

講演日:2016.03.18 (Fri)

講演者

豊玉彰子氏(名古屋市立大学大学院薬学研究科コロイド・高分子物性学分野)

講演内容

コロイドとは、1nmから1μmの分散相が、媒体に分散した系の総称である。本セミナーでは、固体粒子が液体に分散した、「コロイド分散液」を主に紹介する。剛体球系、荷電コロイド系、枯渇引力系などが特によく研究されている。
 荷電したコロイド粒子間には静電相互作用が働く。相互作用が弱いとき、粒子配置はほぼランダムであるが、相互作用が十分大きいとき、粒子は体心立方格子または面心立方格子状に規則正しく配列して、「コロイド結晶」構造を形成する。コロイド結晶の格子面間隔は通常、可視光波長と同程度であり、可視光のBragg回折による虹彩色を示す。このため、フォトニック結晶など光学材料への応用検討が活発である。
 しかしコロイド結晶は液体中で形成される構造であるため、力学的強度が小さく、軽微な振とう等で融解する。そこで、高分子ゲルによる結晶構造の固定化手法が開発されている。コロイド結晶固定ゲルの回折波長は外力によってチューニング可能で、また逆に、ゲルの変形を回折波長の変化から定量化できるため、光学検出式のセンサーとしても有用である。このような、固定コロイド結晶の光学材料応用についても紹介する。
 
豊玉先生は、コロイドのフォトニック結晶研究で著名な山中淳平研究室で博士号を取得し、現在大型研究予算を獲得するなど同研究室講師として活発に実験研究されています。所属は薬学系ですが、著名なジャーナルに基礎研究の論文を発表しています。今までたくさんのコロイド結晶を作っているようですので、それを拝見するのも楽しみです。剛体球系、荷電コロイド系、枯渇引力系といった物理学の基礎原理自体も勉強になりますし、さらに産業への応用へとどうつながるのか、興味深いですね。

開始時間及び場所

連絡先 堂寺知成 06-6721-2332 ext.4086
dotera@phys.kindai.ac.jp


日時:3月18日(金)13時30分~14時30分 (入門)
           14時50分~15時50分 (研究)
場所:近畿大学理工学部31号館808室