SEMINAR

重力レンズ銀河団計測による宇宙論パラメーター推定とすばるHyper SuprimeCamによる重力レンズ研究

講演日:2016.02.24 (Wed)

講演者

浜名 崇氏 (国立天文台)

講演内容

銀河団はその数密度や空間相関が宇宙の初期密度場の情報を保持しているため宇宙論パラメータを探る有力な手段となっており、また銀河団中の暗黒物質の密度分布は暗黒物質の性質を探る手がかりとなるなど、宇宙論研究における有用な天体である。従来銀河団は、銀河集中や銀河団中の高温プラズマによるX線放射を手がかりとして探査されてきた。一方、銀河団はその深い重力ポテンシャルにより、比較的強い重力レンズ効果を引き起こす。私は、すばる望遠鏡主焦点カメラSuprimeCamによる11平方度の撮像データを用いて重力レンズ解析を行い、その領域の暗黒物質密度分布を求め、そこから7銀河団を検出した。このデータを用いて、世界で初めてとなる重力レンズ銀河団計測による宇宙論パラメーター推定を行った。またその将来的な有用性を評価した。セミナーでは、始めに重力レンズ現象と銀河団についての基礎的事項をおさらいした後、上記研究(Hamana et al. 2015, PASJ, 67, 34)を紹介する。
最後に2014年より稼働している、SuprimeCamより7倍視野の広いHyper SuprimeCamによる重力レンズ研究の現状と展望を紹介する。

開始時間及び場所

日時:2月24日 (水) 14:00-
場所:31号館501号室