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「近藤効果」の厳密な計算機シミュレーションに成功 〜「量子多体系」に関するさまざまな物理現象の謎の解明に期待〜

2019.10.05

  • 研究

近畿大学理工学部理学科物理学コース研究員の後藤慎平と准教授の段下一平は、コンピューターを用いた厳密な数値シミュレーションによって「近藤効果」を再現することに成功しました。「近藤効果」とは、通常は温度低下に伴って一方的に下がる金属の電気抵抗が、ある一定の温度以下で逆に上昇するという現象です。近藤効果の起こる原因の要点は、昭和39年(1964年)に物理学者の近藤淳によって理論的に解明されましたが、現在に至ってもこの現象の厳密な数値シミュレーションがなされないままでした。今回の研究で新たに開発した計算法は近藤効果以外にも幅広く応用可能で、原子や分子といったナノサイズ(1mの10億分の1)あるいはそれよりも小さな世界である「量子」が影響し合う「量子多体系」に関するさまざまな物理現象の謎が解明される可能性があります。本件に関する論文が令和元年(2019年)10月3日(米国【東部夏】時間)、アメリカ物理学会の発行する学術論文誌"PHYSICAL REVIEW LETTERS"に掲載されました。