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: 問題2.6.1 : 電流と静磁場 : 磁場中の磁石   目次

ローレンツ力

ある点において磁束密度$\vec{B}$がある。そこを 荷電粒子$q$が速度$\vec{v}$で通過する場合、その荷電粒子には 「ローレンツ力」
$\displaystyle \vec{F} = q \vec{v} \times \vec{B}$     (2.68)

が働く。ローレンツ力は$\vec{v}$に直交しており、磁束密度の下で 荷電粒子が運動しても速さ(エネルギー)の変化は起きない。

さらに、電場$\vec{E}$がある場合には、荷電粒子は

$\displaystyle \vec{F} = q (\vec{E}+ \vec{v} \times \vec{B})$     (2.69)

の力を受ける。さて、この粒子と一緒に動きながら粒子を観測しよう。 運動する観測者からは $\vec{v} = \vec{0}$である。言い換えると磁束密度 からの力は存在しない。しかし、粒子に作用する 力は観測者の運動にかかわらず同じはずである。観測者にとっては、 粒子のところに

\begin{eqnarray*}
\vec{E} ' &=& \vec{E} + \vec{v}\times \vec{B}
\end{eqnarray*}

の電場があるように見える。電場と磁場(磁束密度)は別の ものではなく、観測の仕方によって相互に変換されるものである。

磁束密度$\vec{B}$の中に置かれた電流$I$が流れる長さ$dl$の導線に 働く力$d\vec{F}$は、電流が導線の中の荷電粒子の 運動であることから、ローレンツ力によって理解できる。 導線の方向を$\vec{t}$として、 $d\vec{l} = \vec{t} dl$ と表すことにすれば、

$\displaystyle d\vec{F}$ $\textstyle =$ $\displaystyle I d\vec{l}\times \vec{B}$ (2.70)

となる。 $I d\vec{l} = \sum_i q_i \vec{v}_i $であることに注意。 ここで、和は長さ$dl$の導線中の電流を担う荷電粒子に対して行う。 この法則を「フレミングの左手の法則」と言う。

図 2.12:
\includegraphics[bb=0 530 380 830,width=6cm]{fig77.eps}





Administrator 平成25年7月6日