年度 |
氏名 |
論文題目・概要 |
2024 |
西村 勇輝 |
国際宇宙ステーション搭載X 線カメラ「SUIM」のための真空試験システムの構築
我々が開発する超高層大気観測専用X 線カメラ「SUIM」は、国際宇宙ステーションの曝露部に搭載予定であるため、宇宙空間の特殊な環境、特に高真空環境下で正常に動作するかを検証する必要がある。本研究では真空試験システムを構築した。真空ポンプの排気速度を測定し、期待通りの性能が出ているか確認した。また真空チャンバーを封じ切った状態で真空度の時間変化を測定し、リークガスやアウトガスの影響を考察した。
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2024 |
高山 昂大 |
XRISM 衛星搭載軟X 線撮像装置Xtend の撮像モードの軌道上性能評価
2023年に種子島から打ち上げられたXRISM衛星には軟X線撮像装置Xtend を搭載している。Xtendの主な撮像モードとして、4 秒の露光後にCCD全領域を読み出すNormal modeと、0.5 秒の露光後に8 分の1 の領域のみを読み出す1/8 window modeがある。本研究では、両方の撮像モードで観測が行われた超新星残骸Cygnus Loop とN132D のデータを解析し、2 つの撮像モード間で基本性能に差が生じていないか調査した。
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2024 |
岡田 健太郎 |
XRISM 衛星搭載軟X 線撮像装置Xtend による天の川銀河中心領域のX 線観測
本研究では、XRISM 衛星に搭載された軟X線撮像装置Xtend の健全性調査の観点で、天の川銀河の中心領域の観測データを解析した。低質量X 線連星系AX J1745.6−2901と1E 1743.1−2843 のX線イメージ、ライトカーブおよびX線スペクトルを作成し、先行研究との比較を行った。
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2024 |
松井 怜生 |
超高層大気専用X 線カメラSUIM で用いるペルチェ素子の性能評価とX 線SOI ピクセル検出器の地上試験
我々が開発している超高層大気観測専用のX 線カメラSUIMの検出部には、X 線SOIピクセル検出器XRPIXを用いる。XRPIXは市販のペルチェ素子で冷却予定である。本研究では、ペルチェ素子が宇宙空間の真空環境・温度環境で動作するか性能評価を行った。またXRPIXの動作も評価しようとしたが、データ取得に問題が起きた。原因追究の結果、読み出し用基板からXRPIXに印加されるリセット電圧の異常が原因と分かった。
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2023 |
福田 開大 |
XRISM 衛星搭載軟 X 線撮像検出器 SXI の初期運用における健全性評価
本研究では XRISMに搭載した軟X線撮像検出器SXIの軌道上での健全性を調査することを目的とする。初期運用で得た軌道上データを解析し、既に健全性が確認できている衛星熱真空試験のデータとの比較を行った。その結果、ペデスタルは安定しており、カウントマップからは全面での正しい受光が確認でき、X線スペクトルには受光したX線の波高値が正しく記録されていた。
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2023 |
木山 穂乃香 |
X線分光撮像衛星XRISMによる超新星残骸N132Dを用いたエネルギー較正精度の調査
X線天体のデータを解析する際は、X 線検出器の出力信号値を入射X線のエネルギーに変換するエネルギー較正が必要である。本研究は、2023年9月に打ち上げられたX線分光撮像衛星XRISMのCCD検出器における、ゲイン関数のエネルギー較正精度の調査を目的とする。CCD検出器で観測した超新星残骸N132DのX線スペクトルを解析し、ゲイン関数で得られるX線エネルギーと文献値の比較を行った。
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2023 |
小川 慧斗 |
X線天文衛星NuSTAR によるSgr A*からの硬X線放射観測
本研究では、天の川銀河の中心にある超大質量ブラックホール Sgr A*の静穏期における硬X線のスペクトルを調査した。米国の衛星「NuSTAR」が2012年7月から 2022年4月に取得した75の観測データを用いて、X線画像とライトカーブの解析を用い、静穏期のデータを抽出した。高統計な硬X線スペクトルをべき関数モデルでフィットし、フラックスを測定した。
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2023 |
桒野 慧 |
宇宙X線による超高層大気の密度測定に向けた観測効率の検証とコリメータ開発
我々は、宇宙X線の大気減光を観測して高度100 km付近の超高層大気の密度を測定するプロジェクトを進めている。SOIピクセル検出器を国際宇宙ステーションに搭載し、コリメータと組み合わせることで高度毎の密度分布を測定する計画である。本研究ではシミュレーションを用いて、荷電粒子の強度によって実観測時間とX線検出効率がどのように変動するかを計算した。またコリメータの試作品の設計も行なった。
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2022 |
牧野 耕輔 |
「すざく」衛星による銀河系の中心領域における鉄輝線のドップラー偏移の調査
銀河系の中心領域には、拡がったX線放射が存在している。その起源が、X線を放射する星の集まりか、拡がったプラズマなのかは決着がつい ていない。拡がったX線放射には、鉄の特性X線が付随している。もし星の集まりが起源ならば、鉄の特性X線のドップラー速度は銀河の回転曲線と一致すると考えられる。そこで「すざく」衛星のデータを用いて、銀河系の中心領域で鉄の特性X線のドップラー偏移とその銀経分布を 測定した。 |
2022 |
岸本 拓海 |
ISS上での大気X線観測へ向けたSOIピクセル検出器の開発と軌道上バックグラウ ンドの推定
我々は、国際宇宙ステーション(以降 ISS)の曝露部にSOI ピクセル検出器「XRPIX」を取り付け、地球超高層大気を観測するプロジェクトを計画している。本研究では、ISS軌道上の非X線バックグラウンドを推定した。またノイズ軽減の観点で、バックバイアスおよび露光時間によってXRPIXの1ピクセルイベントの割合がどのように変化するかを調査した。 |
2022 |
出口 奈侑 |
X 線天文衛星すざくによる超新星残骸 Kes 75 における鉄の特性 X 線の調査
Kes 75は、Chandra 衛星による先行研究で電子温度が1–2 keV のプラズマが見つかっているが、著者によって鉄の特性X線の有無に違いが あった。本研究ではすざく衛星を用いて Kes 75の鉄の特性X線を調査した結果、有意な鉄の特性 X 線は検出されず、上限のみ測定した。また0.6–9.0 keV のスペクトルは、低温の電離平衡プラズマと高温の電離優勢プラズマで説明できた。 |
2022 |
伊藤 耶馬斗 |
X線分光撮像衛星XRISM搭載CCDカメラXtendの環境試験におけるペデスタルの調査と撮像モード間のX線フラックスの比較
本研究では、XRISM衛星の環境試験で取得したCCDデータのペデスタルを解析し、試験によってCCDに問題が生じていないことを確認した。さらに、異なる撮像モード間でX線フラックスの測定に矛盾がないか調査し、露光時間の長い撮像モードで X 線カウントレートが低くなることを見出した。その原因を検証する ためシミュレーションを行なった。 |
2022 |
老田 凱 |
次世代 X 線天文衛星用SOIピクセル検出器の実験システムにおけるノイズカットトランスの導入
我々は、SOI ピクセル検出器「XRPIX」の開発を行っている。研究室の実験システムでは、同じ温度や駆動電圧でも、日によってペデスタルの幅 が変動する問題が起きていた。我々はその原因が電源ラインから混入するノイズの影響であると考え、実験システムにノイズカットトランスを導 入した。 |
2021 |
河邉 圭寿 |
次世代X線天文衛星用SOIピクセル検出器の動作条件の最適化
次世代X線天文衛星用 SOI (Silicon-On-Insulator) ピクセル検出器「XRPIX8」では、X 線光子の入射で生成されるアナログ信号が前段アンプを経て、ADCでデジタル信号へと変換される。私は、前段アンプとADCの出力オフセット電圧を調整し、エネルギー分解能が最も良くなる条件を調査した。 |
2021 |
毒島 雄一郎 |
次世代X線天文衛星用SOIピクセル検出器の実験システムの構築及び素子の不具合について
我々はX線ピクセル検出器「XRPIX」の開発を行っている。近畿大学で「XRPIX」の評価実験 を行うため、我々は実験システムを構築した。本研究では、構築した評価システムの概要を報告する。また、評価実験中「XRPIX」 に起きた不具合とその原因調査の結果及び対策案について報告する。 |
2021 |
青木 悠馬 |
X線分光撮像衛星XRISM搭載CCD素子におけるGoffsetのシミュレーション
XRISM用X線CCDでは、1 ピクセルイベントに比べ、複数ピクセルにまたがったイベントの方が波高値が高くなる現象 (Goffset)があり、低エネルギー側ほど波高値の差は大きくなる。ノイズが Goffset に影響を与えているという仮説のもと、我々はシミュレーションを用いてノイズとGoffset の関係を調査した。 |
2021 |
神農 夕奈 |
X線天文衛星すざくによる超新星残骸3C 396からの鉄輝線の発見
本研究では、X線天文衛星すざくを用いて超新星残骸 (SNR) 3C 396からの鉄輝線を測定し、SNRの高温プラズマ由来と考えられるHe状鉄イオンからの鉄輝線を発見した。またSNRの高温プラズマは2温度で説明できることがわかった。それぞれ星間物質と爆発噴出物に由来すると考えられる。 |
2021 |
森川 朋美 |
超新星残骸における低エネルギー宇宙線起源の中性鉄輝線の探査
低エネルギー宇宙線は太陽磁場の影響を受けるので太陽系内での直接観測は困難である。星間物質中の鉄原子が低エネルギー宇宙線によって電離されて放射する中性鉄輝線は、低エネルギー宇宙線の新たな観測方法である。私はX線天文衛星すざくを用いて、4つの超新星残骸で中性鉄輝線を探査した。 |
2021 |
釜谷 智哉 |
X線分光撮像衛星XRISM搭載CCD検出器における撮像モードごとの性能評価
我々は、2022年度打ち上げ予定のX線天文衛星XRISM搭載 CCD 検出器の開発を行っている。私は、筑波宇宙センターの地上試験で取得した衛星搭載品のデータを用いて2 つの撮像モード、すなわち、全領域を読みだすnormal modeと1/8 領域のみを高速で読み出す1/8 window modeの性能を評価した。 |
2021 |
八橋 佑樹 |
次世代X線天文衛星用SOIピクセル検出器におけるイベントパターンを用いた電子雲半径の推定
検出器にX線が入射すると光電吸収によっ て電子の塊 (電子雲) が生成される。電子雲半径は各イベントパターンのカウント数の比 (イベント比) に影響を与える。そこで私はX線イベントを再現するシミュレーターを作成し、実験とシミュレーションそれぞれのイベント比を比較することで電子雲半径を推定した。 |
2021 |
小沼 将天 |
X線天文衛星すざくによる超新星残骸3C 400.2のプラズマ状態の調査
超新星残骸3C 400.2は、先行研究によって再結合優勢プラズマの存在が指摘されているが、測定されたプラズマの物理パラメータは、著者によって大きな相違があった。本研究ではすざく衛星のデータを用いて、バックグラウンドを注意深く評価した上で、3C 400.2のプラズマ状態を調査した。 |