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万物の根源的要素である素粒子は「場の量子論」と呼ばれる理論によって記述されます.量子論とはミクロの世界を記述する理論体系であり,そこでは物の位置や速度などの物理量が確定しませんが,場の量子論においては粒子の存在そのものが不確定になり,粒子が無から生成されたり逆に消滅したりする驚くべき状況が生じます.本研究室では,この理論のさまざまな解析手法を提案・研究し,実際の物理現象に応用することで自然の深い理解を得ることを目標としています.特に,陽子や中性子が形成される要因となる「クォーク閉じ込め」や「質量ギャップ生成」と呼ばれる現象の理解に数理的・数値的手法を用いて挑んでいます.


MESSAGE

この宇宙で起こる物事は,すべて何らかの法則に従っていると考えられます. どんな物でも細かく見ると分子・原子から出来ており,それらの振る舞いは「量子論」とよばれる”小さい”物の動きを司る法則に従っています[図1,2参照].一方,宇宙空間において星やそれを包含する銀河の振る舞いは「一般相対性理論」とよばれる”大きい”物の動きを司る法則に従っています[図1参照].実は,私を含む素粒子物理学者と呼ばれる人たちは,一見異なるように見えるこれら2つの法則も実は1つの法則の異なる見え方だと考えています.このような法則は「万物の理論」(Theory of Everything)と呼ばれ,全ての現象は一つの方程式に基づいていると期待されます.このように,自然現象の背景に存在する普遍的な規則や方程式を見つけ出すことが物理学の一つの目標です.一方,単純な規則から生命のような多様性が生み出される理由を考えるのも物理学の魅力的な問いです,これらの問いに答えることを最終目標として,自然を構成する最小要素を探求する学問領域「素粒子論[図3参照]」と,それを記述する理論「場の量子論」を研究しています.

物理学について紹介した動画
物理学|大学で学ぶ学問を分かりやすく解説するシリーズ
がYouTubeにあります.

量子論・相対論・素粒子論について紹介した講義動画
物理学で見るミクロとマクロ 〜量子論と相対論の世界〜
がYouTubeにあります(2021年9月,2022年3,9月近畿大学オープンキャンパスでの講義録画).
ケンブリッジ大学ニュートン研究所での国際会議における招待講演の動画が以下から見られます.
Resurgence in QFT -renormalon, phase transition and more-」(2022年12月16日)
Applications of Resurgence Theory to Quantum Theories: ZN Twist, Exact–WKB and Phase Transition」(2021年6月21日)
カリフォルニア大学サンタバーバラ校KITPでの国際会議における招待講演の動画が以下から見られます.
Resurgence and continuity with ZN-twisted boundary condition」(2020年7月22日)

図1:自然を司る量子論と一般相対性理論
図2:量子論の特徴.粒子の位置や速度があやふや(上図). 真空中に仮想的な粒子対が出現(下図).
図3:現在知られている素粒子の種類[KEKホームページより]

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PI(研究室主催者)


近畿大学理工学部・大学院総合理工学研究科 准教授 三角樹弘

略歴:2007年東京大学理学部物理学科卒.2012年京都大学大学院理学研究科博士課程修了.博士(理学).ブルックヘヴン国立研究所博士研究員,慶應義塾大学助教,秋田大学大学院専任講師を経て2021年より近畿大学理工学部・大学院総合理工学研究科准教授.

詳細を知りたい方は以下のHP等を参照してください.
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コースHP教員紹介
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