: 問題3.5.4
: 変動する電磁場と物質
: 誘電体中の電磁波
目次
誘電体中では、光速は周波数に応じて変化しても電磁波のエネルギーは誘電体に
よって吸収されないとして、電磁波の伝搬を取り扱った。導体中では、誘電体
中と異なって、電磁波のエネルギーの導体による吸収が無視できな
くなる。言い換えると、導体中を進む電磁波の振幅はだんだん減少する。
導体中の電磁波を考える場合、電流の効果を考慮しないといけない。その点が真
空中と異なっている。
電荷はないが(
)、電流はある導体中を伝わる波を考える。
また、
、そして
としている。
よって、マクスウェルの方程式は
電界
と磁場
だけで表せ、
となる。ここで
方向に伝わる平面波を考えると、すべての量は
と
だけの関数であるから、マクスウェルの方程式は
となる。ただし、
と略記
している。
方向に進む平面波を考えているので、
や
を作用させると結果は必ずゼロになる。
したがって、
が結論づけられる。しかも今は
方向に進む波を考えているので、
は定数でなければ
ならないことが分かる。ここでは以後の計算を簡単にするためにゼロとする。
同様にして
が結論できるので、電磁波は
「横波」であることがわかる。
波動を表す式は
のように表されることに
注意。今の場合は,
となる。
ここで、
の方向を
方向にとると、定義より
である。
電流
である。ただし、
は周波数依存性がないとし
て静電界の値を使うことにする。電界は
方向にしか値を持たないので、
が結論づけられる。
次に、
と上記の方程式を合わせて、
が得られる。すなわち、
となり
は
成分だけを持つ。
結局、マクスウェルの方程式は以下のにように簡略できる。
最初の2式は横波であることを示し、第3,4式は波に伴う電界と磁場の変動方向が
直交していることを表している。
最後の2つの方程式より、
整理すると、
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(3.61) |
となる。ここで、振動する電磁場を複素数で次のように表して,
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(3.62) |
微分方程式を解くことにする。元の微分方程式は、
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(3.63) |
となる。
もしも
ならば、
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(3.64) |
が解になる。ただし、
、
であ
る。これを用いると、
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(3.65) |
となり、空間的に進む波を表していることがわかる。
導体中なので、
であるので、複素数の
を許して
とおいて解を求めると、
![$\displaystyle [-\tilde{k}^2 + (\varepsilon \mu \omega^2 - i \sigma \mu \omega)]
E_0 = 0$](img1563.png) |
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(3.66) |
となる。
でないと意味がないので、係数がゼロでないといけない。
従って、
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(3.67) |
右辺の第1項と第2項の大きさを比較しよう。
[
]で、
[Fm
]であるから、
![$\displaystyle \frac{\sigma}{\varepsilon} \sim 10^{18} [{\rm s}^{-1}]$](img1569.png) |
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(3.68) |
である。このようにして、
可視光(
)を考えたとしても第1項は第
2項と比較して無視できることがわかった。従って、
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(3.69) |
あるいは、
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(3.70) |
が得られる。結局、
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(3.71) |
ただし、
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(3.72) |
となる。この式は、導体中で進まず減衰する「波」を表している。
マイクロ波(
)の場合、
[m]になる。
マイクロ波の波長はcm程度あるから、電磁波は導体中には全くと言って良いほど
侵入できないことがわかる。
: 問題3.5.4
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: 誘電体中の電磁波
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Administrator
平成25年7月6日