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: 導体中の電磁波 : 変動する電磁場と物質 : 問題3.5.3   目次

誘電体中の電磁波

電磁波の周波数が電子の運動の固有振動数より十分小さければ、真空中の誘電率 や透磁率を物質中の値に置き換えてやれば良い。よって波動方程式は、
$\displaystyle \nabla^2 \vec{E}(\vec{r},t) - \frac{1}{v^2}\partial_t^2 \vec{E}(\vec{r},t) =0$     (3.58)

となる。ただし、
$\displaystyle v = \frac{1}{\sqrt{\varepsilon \mu }}$     (3.59)

である。また、真空中の光速との比
$\displaystyle n = \frac{c}{v}$     (3.60)

をその物質の絶対屈折率という。

物質1,2がありそれぞれの絶対屈折率を$n_1,n_2$とするとき、$n_2/n_1$を物質2 の1に対する相対屈折率という。

真空中ではすべての周波数の電磁波の速度は光速で一定であった。従って、任意 の波形の波、すなわち異なった周波数の波の重ねあわせ、が真空中を伝搬すると き、その形は変化しない。ところが、物質中では周波数に応じてその電磁波の早 さは異なる。図 3.19参照。ここでは、分散がある場合とない場合 の波(波束)の伝搬の例を図示している。具体的な波を表す式は、

\begin{eqnarray*}
f(t,x)&=&
\sum_{i=-N}^N e^{-(\frac{i}{N})^2}\sin \left(\left(k...
...)
(x-\frac{\omega_0}{k_0}\left(1-\frac{i}{3N}\right)t)\right)\\
\end{eqnarray*}

の通りである。図は $N=100, x_0=2\pi,\omega_0=2\pi$の場合を描いた。

図 3.19: 1番上は$t=0$の場合である。2番目は$t=6$で分散のない場合($f(t,x)$)で、 3番目は同じく$t=6$で分散がある(波長によって波の速さが異なる、$f_d(t,x)$) 場合である。2番目の図は単に1番目の図を平行移動しただけになっているが、 3番目の図は変形している。
\includegraphics[width=5cm]{wave_packet.eps}

従って、波の形が変化する場合がある。このような現象のことを 波の分散という。虹も波の分散現象の現れである。



Administrator 平成25年7月6日