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: 問題3.3.5 : マクスウェルの方程式と電磁波 : ベクトル解析を応用した電磁波の方程式の導出   目次

電気双極子の振動による電磁波

正の電荷と負の電荷がそれぞれ、 $(0,0,z_0+\Delta \cos \omega t)$ $(0,0,-z_0-\Delta \cos \omega t)$にある。このときに放出される電磁波につい て考察しよう。

図 3.10: 電気双極子の振動による電磁波
\includegraphics[width=8cm]{f8-7.eps}

$z$軸方向では、電界は常に$z$方向を向いている。電荷の運動に伴う電流は$z$ 軸方向に流れるから、磁場は$z$軸の周りにできる。もし、電磁波が$z$軸方 向に伝搬すると仮定すれば、その進行方向と電界の向きが一致することになり、 電磁波の条件を満たさない。従って、$z$軸方向に電磁波は伝搬しない。

一方、$x$軸方向に進む電磁波を仮定した場合、電界の向きは$z$軸方向、磁場の 向きは$y$方向、そして仮定により、電磁波の進行方向は$x$軸であるので、電磁 波の存在条件を満たしている。よって、電磁波は$x$軸方向に伝搬することがで きる。なお、対称性により、$z$軸方向に垂直な方向には一様に電磁波は伝搬す る。

電磁波はエネルギーを荷電粒子から無限遠に運ぶので、荷電粒子の運動を継続す るためにはエネルギーの供給が必要である。あるいは、荷電粒子に外力を与えて 運動させないと、その運動はいつか止まってしまう。では、原子の中の電子の運 動はどうだろうか?この疑問が量子力学を生んだ。





Administrator 平成25年7月6日