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: 線形時不変システム : ダイナミカルシステム : ダイナミクス   目次

ダイナミカルシステムの数学的な記述

時刻$t$における状態を$x(t)$とする。$\delta t$だけ未来の状態 $x(t+\delta t)$は状態$x(t)$とダイナミクスを表す時刻$t$における ある関数 $f\left(x(t), u(t)\right)$によって、
$\displaystyle x(t+\delta t) - x(t) = f\left(x(t), u(t)\right)\delta t + o(\delta t^2)$     (7.1)

と表すことができる。ここで$u(t)$はダイナミクスを規定する 外部変数であり、$ o(\delta t^2)$$\delta t$に関する2次以上の微少量であ る。 $\delta t \rightarrow 0$の極限を考えると、
$\displaystyle \frac{d}{dt}x(t) = f\left( x(t), u(t)\right)$     (7.2)

となり、これを状態方程式と呼ぶ。ここで、$u(t)$は入力と考えることが できる。出力$y(t)$は状態$x(t), u(t)$の関数として、
$\displaystyle y(t) = g\left(x(t), u(t)\right)$     (7.3)

と表すことができて、出力方程式と呼ぶ。

$t$が十分大きくなったとき、初期状態によらず

$\displaystyle y(t) = S\left( u(t)\right)$     (7.4)

のように入力と出力が写像$S$で結ばれるようなシステムを漸近安定なシステム と呼ぶ。別の言い方をすれば、 初期状態を忘れることができるダイナミカルシステムである。 図 7.1参照。このようなシステムは工学的に重要である 7.1

図 7.1: 漸近安定なダイナミカルシステムの入出力関係
\includegraphics[width=5cm]{fig_system.eps}

写像$S$は因果律を満たす必要がある。すなわち、現在の出力は過去の入力のみ に依存し、未来の入力には依存しないことである。時刻$t=\tau$以前の 入力のみを取り出す演算子

$\displaystyle L_\tau(u(t)) = \left\{ \begin{array}{cc}
u(t), & t \le \tau \\
0, & t> \tau
\end{array} \right.$     (7.5)

を導入して数式で$S$が因果律を満たすことを表すと、
$\displaystyle \forall u(t) \,\,s.t.\ L_\tau\left(u(t)\right) = 0
\Rightarrow L_\tau S\left(u(t)\right)=0$     (7.6)

となる。$s.t.\ $はsuch thatの略である。上の式は $L_\tau\left(u(t)\right) = 0 $を満たすようなすべての$u(t)$に対して $ L_\tau S\left(u(t)\right)=0 $となることを意味している。



Administrator 平成25年1月3日