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: ダイナミカルシステムの数学的な記述 : ダイナミカルシステム : ダイナミカルシステム   目次

ダイナミクス

ダイナミクスとは広い意味では
過去が未来に影響を与える機構
のことである。その意味で振子は初期状態が未来の状態を 決定するので、ダイナミクスが存在していると言っても良い。 冷蔵庫に水を入れて凍らせるときも、水温はどれだけ過去に 熱を奪ったかに依存し、ダイナミクス(将来の温度を決定する機構) が存在すると言っても良いであろう。

ダイナミカルシステムを考える場合、過去の状態を記憶する 機構が必ず存在する。例えば、振子の場合ならば振子の持つ エネルギーが「記憶」の役割を果たすし、水を凍らせる場合には 水の持つ熱量が「記憶」になる。様々なダイナミカルシステムには 固有の記憶媒体によって、記憶が担われていることに注意する 必要がある。人間の場合には外界の環境に合わせて、 文字通りの「記憶」がそのダイナミクス(個人の行動様式)を 決定する。

この「記憶」の内容をシステムの「状態」と呼び、 ダイナミカルシステムの過去と未来を繋ぐインターフェイスになる。 例えば、真空中を外力を受けずに運動する質点というダイナミカル システムを考えよう。ダイナミクスを決定する機構は ニュートン力学であり、このシステムの将来はこの質点の位置と 運動量が分っていれば分る。すなわち、質点の「状態」は その質点の位置と運動量によって記述することができる。このことは 既によく理解していることであろう。

工学的な観点からは「入力」と「出力」を もつダイナミカルシステムが重要である。入力はそのダイナミカルシステムを 制御するための操作を表し、出力はその制御のためのシステムの観測量を 表している。



Administrator 平成25年1月3日