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: NMR装置と信号検出 : NMRの原理 : ブロッホ方程式   目次

スピンエコー

もっとも重要なNMR現象であるスピンエコーもベクトルモデルによって 理解することができる。ラーモア周波数$\omega_0^i$が少しずつ異なる 磁化$\vec{M}_i$があるとしよう11.5$B_1$に比べて $B_0^i - \omega_{\rm rf}/\gamma$が無視できるような強力な $90^\circ _{\rm x}$-パルスによって近似的にすべての磁化$\vec{M}_i$は y軸方向に倒すことができる。
図: スピンエコーの原理。 (a) すべての$\vec{M}_i$ $90^\circ_{\rm x}$-パルスによって $-$y-axisに倒される。 (b) r $\tau $後には、ラーモア周波数の違いにより$\vec{M}_i$はxy面内 で分布する。図の小さな矢印は回転座標系における角速度を表わしている。 (c) $180^\circ_{\rm y}$パルスが$\vec{M}_i$をy軸に関して鏡像対称な位置に 移動させる。 (d) さらに、$\tau $だけ歳差運動を行わせるとすべての$\vec{M}_i$$-$y軸に収束する。
\includegraphics[width=5cm]{ns_v_6.eps}
ラーモア周波数が場所毎に異なっているので、 時間$\tau $の間の自由な歳差運動によって、$\vec{M}_i$はxy面内に分布する ことになる。次に、強力な $180^\circ _{\rm y}$パルスがy軸に対称な位置に $\vec{M}_i$を移す。もう一度、自由に歳差運動を同じ時間 $\tau $だけ行わせると、 すべての磁化$\vec{M}_i$が場所毎に異なるラーモア周波数に依らずに$-$y軸に 収束する。この$180^\circ$-パルスは$\vec{M}_i$を再収束させ、リフォーカシ ング・パルスと呼ばれる。



Administrator 平成25年1月3日