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: ストークスの定理 : ベクトルに対する微積分 : ベクトル場とベクトル演算子   目次

ガウスの定理

ガウスの定理とは、

\begin{eqnarray*}
\int_S \vec{w} \cdot d\vec{S}
= \int_V \vec{\nabla}\cdot \vec{w}   dv
\end{eqnarray*}

である。 ここで$S$は空間中にとった閉曲面で、$V$はその閉曲面で 囲まれた体積である。ただし、式を簡単にするために、$S$の 微小要素の大きさにその微小要素の法線ベクトルを掛けたもの $\vec{n}dS$$d\vec{S}$と表していることに注意すること。

今、微小体積$dxdydz$を考察する。具体的なイメージを 掴むために、 $\vec{w} = \rho \vec{v}$と考えて流体の流れを 考えよう。ここで、$\rho$$\vec{v}$は流体の密度とその速度 である。

この微小体積に$x$方向に沿って流出する流体の量を 考える。図の灰色の面からこの微小体積に流入する 流体の量は
$\displaystyle \rho(x,y,z)v_x(x,y,z)dydz \delta t
=w_x(x,y,z)dydz \delta t$
である。一方、図の黒色の面から流れ出す流体の量は
$w_x(x+dx,y,z)dydz \delta t$
である。よって正味の流出量は
$\displaystyle (w_x(x+dx,y,z) - w_x(x,y,z))dydz\delta t
=\frac{\partial w_x}{\partial x}dx dy dz \delta t$
となる。同様に$y$方向と$z$方向にも考察を行い、それらを 合計すると、この微小体積から$\delta t$の間に流出する 流体の量は

\begin{eqnarray*}
(\frac{\partial w_x}{\partial x}
+\frac{\partial w_y}{\partial...
...x dy dz \delta t
=\vec{\nabla}\cdot \vec{w}   dx dy dz \delta t
\end{eqnarray*}

となる。
図 1.8: ガウスの定理
\includegraphics[width=6cm]{fig89.eps}

次に、空間に閉曲面$S$とこの閉曲面に囲まれている 空間の領域$V$を考察する。$V$を微小体積の集まりと 考えて、 $\int_V \vec{\nabla}\cdot \vec{w}   dx dy dz$を 考えよう。 ある一つの微小体積のある面から流出する流体の量は その同じ面を共通に持つ隣の微小体積に流入する流体の 量と同じである。結局、$V$内のすべての 微小体積の表面を通して流入出する流体の 総和は、隣に微小体積を持たない微小体積に流入出する 流体の量、すなわち閉曲面$S$を通して流入出する 流体の総和 $\int_S \vec{w} \cdot d\vec{S}$になる。



Administrator 平成25年7月6日