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: 静磁場の基本法則のまとめ : 物質中の電界と磁場 : 磁性体   目次

物質中の静磁場の基本法則

長岡の電磁気学IIでは、磁化電流を導入してアンペールの法則から物質中 の静磁場の基本法則を「導出」している。この磁化電流の起源は曖昧なので、以 下のように、静磁場の基本法則を考えることにする。

物質中では磁化が存在する場合もあるので、直接磁束密度と電流密度を結びつけ ることはできない。そこで、磁束密度$\vec{B}$から磁化$\vec{M}$の効果を差し 引いた磁界 $\vec{H}(\vec{r})$

$\displaystyle \vec{H}(\vec{r}) = \frac{1}{\mu_0} \vec{B}(\vec{r}) - \vec{M}(\vec{r})$     (3.37)

と定義して、形式的に

\begin{eqnarray*}
\vec{\nabla}\times \vec{H}(\vec{r}) = \vec{i}(\vec{r})
\end{eqnarray*}

が成立するようにする。ここで、 $\vec{i}(\vec{r})$は磁化電流ではない「本当」 の電流である。 3.2

強磁性体ではない通常の磁性体では、 弱い磁場の下で磁化ベクトルはかけられた磁場に比例する。そこで、

$\displaystyle \vec{M}(\vec{r}) = \chi_m \vec{H}(\vec{r})$     (3.38)

と表し、磁化率$\chi_m$を定義する。磁束密度と磁界の間には
$\displaystyle \vec{B}(\vec{r})$ $\textstyle =$ $\displaystyle \mu_0\{ 1 + \chi_m \} \vec{H}(\vec{r})$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \mu \vec{H}(\vec{r})$ (3.39)

という関係が成り立つ。ここで、 $\mu =\mu_0 (1+ \chi_m) $透磁率と言う。 通常の物質では $\mu \approx \mu_0$と考えて良いことがほとんどである。この 点が誘電率$\varepsilon$と大きく異なる。





Administrator 平成25年7月6日