ラプラス変換の応用例

起電力$E$の電池、スイッチ、コイル、抵抗を直列に接続した回路を考え、 時刻$t=0$ でスイッチをオンにした。過渡応答をラプラス変換を用いて 調べる。

回路のダイナミクスを表わす微分方程式は

$$L \frac{d}{dt} i + R i = E$$

である。表 9.1を使えるように、 ある特徴的な時間$\tau$を 導入して時間を無次元化する。すなわち、$t = \tau t'$とする。 元に微分方程式は以下のようになる。

$$\frac{L}{\tau} \frac{d}{dt'} i + R i = E$$

ラプラス変換を行なうことにより、

$$-\frac{L}{\tau} i(0)+ \frac{L}{\tau} s {\mathcal L}(i) + R {\mathcal L}(i) = \frac{E}{s}$$

が得られる。ただし、題意より時刻$t=0$における電流$i(0)=0$である。 ${\mathcal L}(i)$について解くと

$${\mathcal L}(i) = \frac{E}{s(Ls/\tau+R)} = \frac{E}{R}\left(\frac{1}{s} - \frac{1}{s+\tau(R/L)}\right)$$

となる。ここで、$\tau = L/R$とおくと、

$${\mathcal L}(i) = \frac{E}{R}\left(\frac{1}{s} - \frac{1}{s+1}\right)$$

となり、線形性と表 9.1を用いることにより、

$$i(t') = \frac{E}{R}\left( 1 -e^{-t'}\right)$$

が得られる。最後に$t = \tau t'$を用いて、$t$の関数に戻せば、

$$i(t) = \frac{E}{R}\left( 1 -e^{-t/\tau}\right)$$

が得られる。