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: 強制振動の解 : 交流回路における コイルとコンデンサー : 電気振動   目次


複素インピーダンス

セクション6.1で示したように回路にコイルやキャパシター がある場合は微分方程式を解けば、回路の振る舞いを知ることができる。しかし ながら、微分方程式を解くのは大変なので以下のような考えに従って複素 インピーダンスを導入すると便利である。

交流起電力が

$\displaystyle \phi(t) = \phi_0 \cos ( \omega t + \alpha )$     (6.1)

と与えられている場合を考える。この起電力によって生じる電流や電荷も同じ振 動数で振動するであろう。従って、
\begin{subnumcases}
{}
I(t) = I_0 \cos ( \omega t + \beta ) \\
Q(t) = Q_0 \cos ( \omega t + \gamma )
\end{subnumcases}
となる。位相は異なる可能性があることに注意。 そして、次のような複素数の関数を作る。
\begin{subnumcases}
{}
\tilde{\phi}(t) = \phi_0 e^{i ( \omega t + \alpha )}
=...
...}_0 e^{i \omega t } \\
\qquad \tilde{Q}_0 = Q_0 e^{i \gamma}
\end{subnumcases}
これらの関数の実数部は物理的に意味がある式に一致する。これらの関数が解く べき微分方程式を満たしてると仮定しよう。例えば、

\begin{eqnarray*}
L\frac{d\tilde{I}(t)}{dt} + R \tilde{I}(t) + \frac{\tilde{Q}}{C}
= \tilde{\phi}(t)
\end{eqnarray*}

などである。ここで、実数部と虚数部に分けると、

\begin{eqnarray*}
\{L\frac{dI(t)}{dt} + R I(t) + \frac{Q}{C}\}
+i \{L\frac{dI'(t)}{dt} + R I'(t) + \frac{Q'}{C}\} \\
= \phi(t) + i \phi'(t)
\end{eqnarray*}

となる。$L,R,C$はすべて実数だから$\{\,\}$の中は実数であり、右辺と左辺で それぞれの実数部と虚数部が等しくないといけない。従って、まず複素数の関数 を用いて問題を解いた後、その実数部分のみを取り出せば物理的に意味のある解 を得ることができる。





Administrator 平成25年1月3日