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: 問題 : 基本法則II : 重ね合わせの原理   目次

鳳-テブナンの定理

多数の直流電圧源$v_i$、直流電流源$j_i$、それに抵抗$R_i$で作られた回路を 考える。この回路の中の2つの節点を考えて、その回路の端子対(2端子) 5.3としよう。この端子対を通じて、回路にパワーを 供給することができる。以下の鳳5.4- テブナンの定理を用いると、回路をブラック ボックス化することができ、解析を行う上で有用である。
回路に含まれるすべての電圧源を短絡し、すべての電流源を開放した時の回路の 合成抵抗が$R$であるとしよう5.5。次に、何も接続せず端子対に現れる電圧は$v$で あった。この端子対に抵抗$R_0$を接続すると電流

\begin{displaymath}i = \frac{v}{R+R_0}\end{displaymath}

が流れる。

図 5.6: 鳳−テブナンの定理。どのように複雑な回路でも 電圧源とそれに直列に接続された抵抗と見なすことができる。
\includegraphics[width=6cm]{ho_tev.eps}

証明は電子回路の線形性を用いて行う。端子対に抵抗$R_0$を繋いだ回路は、 図5.7に示すように、

図 5.7: 鳳−テブナンの定理の証明。上段の回路は下段の二つの回路の重ね合わせと 考えることができる。下段右側の回路に電流は流れないことに注意。
\includegraphics[width=7cm]{ho_tev_proof.eps}
の二つの回路の重ね合わせと考えることができる。下段右側の回路の$R_0$には 電流が流れない。従って、回路の線形性により下阪左側の$R_0$に流れる電流は 上段の回路の$R_0$に流れる電流と同じである。

同様に電流源と並列に接続された抵抗によって、等価回路を作ることもできる。

回路に含まれるすべての電圧源を短絡し、すべての電流源を開放した時の回路の 合成抵抗が$R$であるとしよう。次に、端子間を短絡した時に流れる電流が$j$で あった。この端子対に抵抗$R_0$を接続すると、電圧

\begin{displaymath}v_0 = \frac{R R_0}{R+R_0} j\end{displaymath}

が生じる。

5.8を証明すれば十分であろう。左側の回路の抵抗$R_0$に 流れる電流$j_0$ $\displaystyle j_0 = \frac{v}{R+R_0}$である。一方右側の回路で$R_0$に流れ る電流は、 $\displaystyle \frac{1/R_0}{1/R + 1/R_0} j$である。ここで、 $j = v/R$ととれば、 $\displaystyle j_0 = \frac{v}{R+R_0}$となり、左側の回 路で抵抗$R_0$に流れる電流と同じ電流が右側の回路の抵抗$R_0$に流れるように することができる。

図 5.8: 任意の回路は電流源とそれに並列に接続された抵抗と等価である。
\includegraphics[width=7cm]{ho_tev_i.eps}



Administrator 平成25年1月3日