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: 電界効果トランジスタ : 半導体素子 : PN接合ダイオード   目次

トランジスタの動作原理

ここではNPN接合(端子は順にエミッタ、ベース、コレクタ)における電子と正 孔の振る舞いについて考える。

エミッタとコレクタの半導体はn型で電子が多数キャリアになり、ベースはp型 半導体なので、正孔が多数キャリアとなる。なお、ベースの幅は非常に狭くなっ ていることに注意。まず、トランジスタに電圧(バイアス)がかかっていない状 態を考える。この場合、PN接合とNP接合の直列回路と考えて良いだろう。それぞ れの接合部にはダイオードの動作原理で議論したように空乏層ができる。

エミッタ-コレクタ間にエミッタが負となるように電圧をかけても、 ベース−エミッタ間のPN接合の空乏層が広がり電流は流れない。

図 10.3: トランジスタの動作原理
\includegraphics[width=7cm]{transistor.eps}
さらに、エミッタ-ベース間にエミッタを負とするように電圧をかけよう。この電 圧はエミッタとベースの間のPN接合に取っては、順方向バイアスとなる。 従って、ベース電極よりp型半導体には正孔が注入されることになり、エミッタ から電子がベースに入ってくる10.3。この電子は一部はベースの正孔と再結合するが、 ベースは薄いので大部分は再結合する間もなくコレクタに入ってしまう。 その結果エミッタ-コレクタ間に電流が流れることになる。このコレクタに流れ る電流はベース電流の関数であり、コレクタ電流はベース電流によって制御され ると言える10.4

PNP型のトランジスタの場合では、電源の極性を逆にして、電 子と正孔を入れ替えれば良い。



Administrator 平成25年1月3日