ダイオードのアノード側(p型半導体)に正電圧、カソード側(n型半導体)に負 電圧を印加することを順方向バイアスをかけると言う。これはn型半導体に電子、 p型半導体に正孔を注入することになる。n型半導体内では電子が空乏層に押し出さ れるし、p型半導体では正孔が押し出される。
これらの電子と正孔は空乏層で 再結合して、消滅する10.1。半導体全体を見ると、n型半導体に電子が注入され、 p型半導体に正孔が注入される(p型半導体から電子が引き抜かれる)ことになり、 pn接合を通って電流が流れることになる。また電子と正孔の再結合に伴い、これ らの持っていたエネルギーが熱(や光)として放出される。また、順方向に電流 を流すのに必要な電圧を順方向電圧降下と呼ばれる。アノード側に負電圧を印加することを逆方向バイアスをかけると言う。この場合、 n型領域に正孔、p型領域に電子を注入することになるので、それぞれの領域にお いて多数キャリアが不足する。従って、接合部付近の空乏層がさらに大きくなり、 内部の電界も強くなるため、拡散電位が大きくなる。この拡散電位が外部から印 加された電圧を打ち消すように働くため、逆方向には電流が流れにくくなる 10.2。