next up previous contents
: トランジスタの動作原理 : 半導体素子 : 半導体素子   目次

PN接合ダイオード

p型半導体とn型半導体が一つの結晶内でつながったものをPN接合と呼ぶ。 PN接合部では電子と正孔が結合して、これら多数キャリアの不足した空乏層が形 成される。この空乏層内は、n型側は正に帯電し、p型側は負に帯電している。 このため内部に電界が発生し、空乏層の両端では電位差(拡散電位)が生じる。 ただしそれと釣り合うように内部でキャリアが再結合しようとするので、 この状態では両端の電圧は0である。

ダイオードのアノード側(p型半導体)に正電圧、カソード側(n型半導体)に負 電圧を印加することを順方向バイアスをかけると言う。これはn型半導体に電子、 p型半導体に正孔を注入することになる。n型半導体内では電子が空乏層に押し出さ れるし、p型半導体では正孔が押し出される。

図 10.2: ダイオードの動作原理。 電子に取って上はエネルギーの高い状態であるし、正孔にとって下は低い状態に 対応する。
\includegraphics[width=8cm]{diode.eps}
これらの電子と正孔は空乏層で 再結合して、消滅する10.1。半導体全体を見ると、n型半導体に電子が注入され、 p型半導体に正孔が注入される(p型半導体から電子が引き抜かれる)ことになり、 pn接合を通って電流が流れることになる。また電子と正孔の再結合に伴い、これ らの持っていたエネルギーが熱(や光)として放出される。また、順方向に電流 を流すのに必要な電圧を順方向電圧降下と呼ばれる。

アノード側に負電圧を印加することを逆方向バイアスをかけると言う。この場合、 n型領域に正孔、p型領域に電子を注入することになるので、それぞれの領域にお いて多数キャリアが不足する。従って、接合部付近の空乏層がさらに大きくなり、 内部の電界も強くなるため、拡散電位が大きくなる。この拡散電位が外部から印 加された電圧を打ち消すように働くため、逆方向には電流が流れにくくなる 10.2



Administrator 平成25年1月3日