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: 静磁場のエネルギー : 電磁誘導 : 問題3.1.8   目次

相互インダクタンスの相反定理

コイル1に電流を流してコイル2に生じる起電力から得られる相互インダクタンス とコイル2に電流を流してコイル1に生じる起電力から得られる相互インダクタン スは等しいことが知れらている。これを相互インダクタンスの相反定理といい、 以下のようにして証明される。

コイル1に流れる電流$I_1$によって作られる磁束密度 はベクトルポテンシャルを用いて、

\begin{eqnarray*}
\vec{B}(\vec{r})&=& \vec{\nabla}\times \vec{A}(\vec{r}) \nonu...
..._{C_1}
\frac{d\vec{s}_1(\vec{r}_1)}{\vert\vec{r}-\vec{r}_1\vert}
\end{eqnarray*}

と表される。コイル2を貫く磁束は

\begin{eqnarray*}
\Phi_2 &=& \int_{S_2} \vec{B}(\vec{r})\cdot d\vec{S} \nonumbe...
...nonumber \\
&=& \oint_{C_2} \vec{A}(\vec{r}_2)\cdot d\vec{s}_2
\end{eqnarray*}

である。最後の式変形にはストークスの定理を用いた。次に、 $\vec{A}(\vec{r})$の表式を代入すると、
$\displaystyle \Phi_2$ $\textstyle =$ $\displaystyle \oint_{C_2} \frac{\mu_0 I_1}{4 \pi}\oint_{C_1}
\frac{d\vec{s}_1\cdot d\vec{s}_2}{\vert\vec{r}_2-\vec{r}_1\vert}$ (3.11)

となる。従って、コイル1に電流を流した時の相互インダクタンスは
$\displaystyle L_{21}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{\mu_0 }{4 \pi}\oint_{C_2}\oint_{C_1}
\frac{d\vec{s}_1\cdot d\vec{s}_2}{\vert\vec{r}_2-\vec{r}_1\vert}$ (3.12)

となる。コイル2に電流を流した場合の相互インダクタンス$L_{12}$も同様に計 算できて、それは上記の式の$C_1, C_2$ $d\vec{s}_1,d\vec{s}_2$および、 $\vec{r}_1, \vec{r}_2$ を入れ替えたも のになる。入れ替えても結果は同じなのはあきらかである。以上により、 相互インダクタンスの相反定理は証明できた。



Administrator 平成25年7月6日