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: 導体 : 静電場の微分法則 : 問題2.3.6   目次

ポアソン方程式の解の性質

ある電荷分布$\rho(\vec{r})$が与えられているとき、ポアソン方程式を満たす 解$\phi(\vec{r})$が見つかったとしよう。また、ラプラス方程式の解 $\psi(\vec{r})$とすると、

\begin{eqnarray*}
\triangle \left( \phi(\vec{r}) + \varphi(\vec{r}) \right)
= \t...
...angle \varphi(\vec{r})
= -\frac{1}{\varepsilon_0} \rho(\vec{r})
\end{eqnarray*}

となり、 $ \phi(\vec{r}) + \varphi(\vec{r}) $も解であることがわかる。 このように解には不定性があり、境界における条件を満たすようにして 始めて電位は決まる。

ポアソン方程式から以下の電位の性質が導かれる。

  1. 電位は電荷のないところで極大、極小にならない。
    極大、極小では2次微分がゼロでない。すなわち、ラプラス方程式と矛盾 する。
  2. ある領域内に電荷が存在せず、その領域の境界での電位が一定な らば、その領域内では電位は至る所境界における電位と等しい。
    領域内で電位の空間変化があれば、領域内で極小または極小が存在するこ とになる。しかしながら、これは領域内に電荷が存在しないという条件に 反することになる。

電荷分布と境界条件が与えられたならば、ポアソン方程式の解はただ一つに決ま ることが以下のようにして分かる。

仮に、2つの解 $\phi_1(\vec{r}), \phi_2(\vec{r})$が存在すると仮定しよう。 当然、領域内で

\begin{eqnarray*}
\triangle \phi_1(\vec{r}) =
\triangle \phi_2(\vec{r}) = -\frac{1}{\varepsilon_0}\rho(\vec{r})
\end{eqnarray*}

を満たし、境界で

\begin{eqnarray*}
\phi_1(\vec{r}) =
\phi_2(\vec{r}) = \phi_0
\end{eqnarray*}

を満たしている。ここで、 $\varphi(\vec{r}) = \phi_1(\vec{r}) -
\phi_2(\vec{r})$を考えると、至る所で $\varphi(\vec{r})=0$とならなければ ならない。言い換えると、 $\phi_1(\vec{r}) =\phi_2(\vec{r})$を意味しており、 解は唯一であることが分かる。

ここまで、クーロンの法則によって電荷が作る静電場の満たすべき方程式として ガウスの法則と渦なしの法則を導いた。この2法則とポアソン方程式は等価であ る。一方、ポアソン方程式を境界条件の下で解くことによって、静電場を完全に決 定できることを上で示した。



Administrator 平成25年7月6日