next up previous contents
: 問題 : バンド構造 : 電気伝導とバンド構造   目次

SiやGeなどの半導体

SiやGeなどの物質では最外殻の電子の数は4であり、隣の原子とそれらの電子を 共有すること(共有結合)によって、結晶(固体)を作っている。実際のSiやGe の結晶構造は3次元的なダイヤモンド構造であるが、わかりやすいように2次元的 に描いた図 3.4を示す。

図 3.4: 真性半導体では、熱的に励起された電子と自由電子が同数存在する。
\includegraphics[width=7cm]{pure_semicon.eps}
この共有結合に寄与している電子 が熱的な励起によって原子の束縛から逃れるとその電子は自由(伝導)電子 になり、電子が抜けた穴は正孔になる。従って、前節で述べたように温度の 上昇に伴い電気抵抗は減少する。このような 純粋な(不純物を含んでいない)半導体は真性半導体と呼ばれる。

真性半導体では室温で自由電子と正孔の十分な熱的励起が行われず、 自由電子と正孔の密度は大きくない。言い換えると室温における 電気抵抗はトランジスタなどの素子に用いるには大きすぎる。 そこで、トランジスタなどの素子として使われる半導体では不純物を導入して 伝導電子や正孔の数(密度)を制御している。 純度の高いSiやGeにリンP、ヒ素AsやアンチモンAのような最外殻の電子の数が 5この原子を微量に混ぜるとn型半導体になる。この場合、 図 3.5の上の図に表されるように、

図 3.5: 不純物の導入によるn型半導体とp型半導体。
\includegraphics[width=8cm]{p_and_n_semicon.eps}
5こめの電子は共有結合 に寄与せず、不純物原子に緩く束縛される。別の言い方をすれば、熱的に励起 されると自由電子になりやすいということである。一方、硼素B、アルミニュ ームAlやガリウムGaのような最外殻の電子が3この原子を不純物として導入する と、共有結合を行うために電子が足りない。ここは、電子を取り込もうとする 傾向があるので、周囲の共有結合に寄与している電子が取り込まれる。 取り込まれた電子の穴は正孔になる。



Administrator 平成25年1月3日