: 物質中の静電界の基本法則のまとめ
: 物質中の電界と磁場
: 誘電体を入れたキャパシター
目次
誘電分極を起こした絶縁体内から分極の方向に長さ
、断面積
の円柱を切り出したと考える。この時、この円柱の断面に
現れる電荷の密度が
になったと仮定する。
正負の電荷の重心のズレを
、また正の電荷の密度を
とす
ると、
になる。ここで
大きさが
で向きが分極の方向を持ったベクトルを
考え、この円柱の「双極子モーメント」と呼ばう。
分極の強さを表すためには、単位体積あたりの
「双極子モーメント」を用い、これを「誘電分極」、「電気分極」
または「分極ベクトル」と呼ぶ。分極ベクトルは、
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(3.29) |
である。電界が位置の関数だったり、物質が一様でなかったりする場合には、
は位置
の関数のなることに注意。
誘電体中の閉曲面
を考え、分極が生じた場合その曲面の内側から外側に動く電荷
を考察する。先ほどの
を用いると、
となる。
の定義により、この電荷は
となる。この閉局面
内の電荷は最初ゼロ
であったので、分極が起こった後に残る電荷
は
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(3.30) |
となる。分極は正負の電荷の重心のズレ、
または電気双極子を持った分子の向きがそろう
ことによって生じるので、分極電荷はかならず正負が組になって
現れ、物質全体ではその和はゼロになる。それに対して分離できる通常の電荷を
真電荷と呼ぶ。
式3.35に対してガウスの定理を適用すると、分極電荷の密度
と分極ベクトル
の間の関係が得られる。
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(3.31) |
物質中のガウスの法則では、分極電荷も考慮しないといけない。微分形で書くと、
となる。
を使って変形すると、
となる。物質中の電束密度ベクトルとして、
を定義すると、物質中のガウスの法則は、
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(3.32) |
となり、真空中と同じ形になる。
通常、分極は電界に比例する。また、多くの物質(等方性物質)では
電場に比例するだけでなく、方向も一致する。すなわち、
となる。ここで、
をその誘電体の電気感受率と言う。
を使うと、
となり、電束密度は電界に比例することになる。そこで、
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(3.33) |
を定義して、その物質の誘電率という。当然、
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(3.34) |
となる。また、真空の誘電率
と
の比を比誘電率と
呼ぶ。
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: 物質中の電界と磁場
: 誘電体を入れたキャパシター
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Administrator
平成25年7月6日