next up previous contents
: 誘電体を入れたキャパシター : 物質中の電界と磁場 : 物質中の電界と磁場   目次

誘電体

電界中に絶縁体を入れると、その表面に電荷が現れる。 この現象を「誘電分極」と言い、その電荷を「分極電荷」 と呼ぶ。簡単に誘電分極が起こる理由を説明しておこう。

誘電分極が起こる機構としては、大別して2種類ある。

  1. 絶縁体の構成要素(原子や分子)が電気双極子を持っている場合。外部 から電界が作用していないとき、この電気双極子は乱雑な方向を向いて いるために、巨視的にみると(物質全体としては)電気双極子は存在しないよ うに見える。しかしながら、外部から電界が作用とすると、全体的に原 子や分子の双極子が電界の方向を向き、外部からもその存在が明らかに なる。

    図 3.11: 分極した分子と電界中の振る舞い。(a)典型的な分極した分子である水 分子の模式図。電子分布が非対称なので、電気双極子になっている。(b)電界が かかっていない状態。(c)電界がかかっている状態。
    \includegraphics[width=4cm]{f9-1.eps}

  2. 絶縁体の構成要素(原子や分子)が電気双極子を持っていない場合。この 場合は電界が作用していないとき、原子や分子を見ても電気双極子は 存在しない。ところが、このような原子や分子を電界中におくと、負の 電荷を持つ電子は電界の小さい方に引き寄せられ、正の電荷を持つ原子 核は電界の大きいほうへ引き寄せられる。このために、正負の電荷の重 心位置がずれることになる。すなわち、電気双極子が誘起されたことに なる。

    図 3.12: 「原子」の電界中の振る舞い。(a)電界が かかっていない状態。(b)電界がかかっている状態。正電荷と負電荷の空間分布 の重心がずれて、電気双極子モーメントを持っている。
    \includegraphics[width=6cm]{f9-2.eps}





Administrator 平成25年7月6日