- コイルの体積は
である。コイルの中に存在する水素原子のモル数は
となる。
温度 K、 mTの磁束密度に対応した磁場
の下での水素原子1個が持つ磁気モーメントは
となる。水素原子に由来する試料の全磁化は
となる。試料の断面を貫く磁束は
となる。試料の周囲に巻かれた1巻きコイルに誘起される電圧は
となる。
コイルの全巻き数
で与えられる。コイルのインダク
タンスは
となる。ただし、は長岡係数で考えているコイルの形状の場合
が表より与えられている。一方、コイルの抵抗は
となる。以上により、コイルのは
となり、期待される信号の大きさは
となる。すなわち、約100 Vとなる。
また、で共鳴するために必要なコンデンサーの容量は
である。
- 試料に蓄えられている磁場のエネルギーは
である。一方、1周期の間に消費される電力は
となる。従って、准定常状態と考えて良いであろう。
- オシロスコープは最大感度において、1 mV程度の信号を識別できる。従って、
現在期待される信号が10 V程度なので、コイルから得られる信号を100倍
すれば、オシロスコープで観察できる計算になる。
実際には得られる信号はこのような理想的な条件で計算した値より小さいことが
多く、また2 kHzのような低い周波数では1000倍の増幅率を持ったアンプを
作ることは容易なので、1000倍の
プリアンプを導入すれば良いだろうと考えられる。
- 無限に長いコイルの内部に発生する磁場は、アンペールの法則により
である。ただし、は単位長さ当たりの巻き数である。今考えているコイルの
場合にはになる。従って、
より、30 mTの磁束密度を持つ磁場を作るために必要な電流 Aを求める
ことができる。